延暦寺会館 滋賀県大津市・比叡山延暦寺 2015年5月訪問

 JR湖西線の比叡山坂本駅または京阪石山坂本線坂本比叡山口駅から坂本ケーブル坂本駅にアクセスし、日本最長と言われるケーブルカー延暦寺駅至る。延暦寺駅からはほぼ平坦な道を歩いて延暦寺会館(標高約660m)に到着することができる。
<延暦寺会館> <楽天トラベル> <Google地図> <地理院地図>

 伊勢や高野山とは対照的に、比叡山では伝統的に参拝客の誘致には消極的で、往古より明治に至るまで山内には宿坊や売店などの一般客を対象とした商業施設は無かったようである。現在でも山内の宿泊施設はこの延暦寺会館だけである。その外観や客室も素っ気ないものであるが、立地の歴史的重みは大変に大きく、根本中堂での早朝のお勤め(宿泊者限定)も貴重な体験である。夕食朝食は精進料理を館内のレストランでいただくことができる。宿坊ではあるが、このレストランでは酒類の提供もしている。

 山上の宿院に着いた時はもう黄昏近かつた。御堂の方へ參詣してからとも思うたが、何しろ私は疲れてゐた。「天台宗講中宿泊所」「一般參詣者宿泊所」といふ風の大きな木の札の懸つてゐるその冠木門を見ると、もう脚が動かなかつた。 (中略) 坂本から案外に嶮しい坂に驚きながらも久しぶりにさうした山の中に寢起きする事を樂しみながら、漸く斯うして辿り着いて來たのである。 (中略) その宿院から石段を一つ登れば一軒の茶店があつた。其處で私は二合入の酒壜を求めながら急いで部屋へ歸つて來た。
若山牧水比叡山」(青空文庫) 山上の宿院に着いた時:大正7年(1918) 5月18日の午後。坂本ケーブルの開業は1927年。案外に嶮しい坂:延暦の表参道。坂本から約3km、標高差は約500mである。現在はこの参道を登りきると根本中堂のすぐ手前に延暦寺会館がある。当時の宿泊所は正覚院跡地(現 延暦寺会館) あるいはその南に隣接する薬樹院跡地(現 大書院)にあったものと思われる。宿院から石段を一つ登れば一軒の茶店があつた:現在では延暦寺会館からちょっとした坂を上って150mほど先に杣の売店(根本中堂前売店)がある。
日本の佳宿