夕刻の町家通りに面した入り口。ガラス戸の中側には土間(ミセ)と板の間(オウエ)があり、昼前から夕方までは工芸品などの
小店が営業している。閉店後には入り口にカーテンが引かれて一棟貸の宿となる。閉店前でもチェックインが可能で、無人の一軒家に入っていくよりも、昼間は一階に人がいてくれた方がよいと感じられる。重要伝統的建造物群保存地区の中にあり、伝統的建造物に指定されている。
土間(ミセ)からあがった板の間(オウエ)で、時代がかった戸棚と神棚が印象的。神棚に貼られている宝珠を描いたお札のようなものは、宮島に特有の「幸紙」といわれるもので、町家通りにある文具店などで販売している。
一番奥のカーテンが通りに面した玄関で、手前に向かってミセ・オウエ・ザシキが配置される。流しや冷蔵庫のあるキッチンは叩きの通路に張り出して増設されたもので、もともとは通路との間には障子がたてられていたのであろう。現在では茶の間のような雰囲気であるが、反対側には
床の間もあり、本格的な座敷であったことがわかる。
中庭に面しており、渡り廊下の先の
別棟にはきれいに改装された
風呂・
洗面所・
トイレがある。キッチンやトイレにも幸紙が貼られている。
簾が通りに面した玄関の上の窓になる。廊下との間にある
梅型の障子窓が印象的。床の間の
明り取りの小窓でもそうであるように、もとの住人は複雑な形状の自然木の小枝(根っこ?)を障子の桟に組み込む趣味があったようだ。
二階の3部屋のうち、一番中庭側の部屋である。中庭側にはちょっとした
縁側がついている。
玄関上の窓から北側をみたところ。ここが町家通りの北端となる。丁字路を左に行くと海岸に出る。これとは反対に町家通りを
南方向へ500mほど行くと厳島神社に至る。向かいの2棟も伝統的建造物に指定されているようである。改装前の厳妹屋もこのような雰囲気であったかもしれない。