金吹沢鉱泉 青森県八戸市字大久保大山7 2012年7月訪問

 金吹沢鉱泉は大正期に自噴泉が良質なラドン泉であることが認めらてから鉱泉宿が設けられたのであるが、当所では古くからたたら製鉄が行われていたと伝えられ、近くの金吹神社(白堰龍神)の御神木は南部直政公御手植之杉とされる。宿泊施設は2012年9月にかなり唐突に廃業している。
 東側の太平洋に面した種市海岸や、北西側の八戸漁港(JR白銀駅)から4~5kmほど内陸に入った丘陵地に位置する。以前は八戸市中心部からの八戸市営バスの便があったが、現在は途中の平庭バス停止まりとなったので、そこから1kmほど歩く必要がある。八戸市内に在住する人々の保養施設といった感じであり、地域外からの利用者はほとんどなかったものと思われるが、種市海浜公園キャンプ場の利用者が入浴に訪れることがあったようである。自炊は(たぶん)できない。スーパーみなとや(現・マエダストア大久保店)が白銀駅方面へ3km。丘陵地とは言っても登り降りはそれほどないので自転車の利用が便利である。

<Google地図> <地理院地図> <Wayback Machine>

金吹沢鉱泉入口
 手前の2階建ての建物が鉱泉の施設である。1階北側の玄関を入ると受付と売店食堂休息室などがある。浴場は1階の西端であり、宿泊室は2階となる。
 左写真の奥に見える3階建ての建物はサービス付き高齢者向け住宅「金吹沢の森」および「金吹沢診療所」。診療所の診療時間は月曜日の午前中のみである。

2階客室
 休息室の階上、一番西端の部屋。素泊まり\2,625。住み込みたくなる値段だ。8畳に広縁付き、収納棚や押し入れもあるから一人暮らしには十分であろう。
 朝食\525、夕食は\1,000~。日帰り入浴\550。

金吹沢庭園
 上記の2階客室からの眺め。池の周辺にはラジウム鉱泉の源泉などがある。このあたりは金吹沢診療所や市中心部にある病院の経営者が所有・管理する土地のようである。

南側から鉱泉の建物を見る
 池の下流部(西端)は盛土の堰堤になっており、人工的に造成された溜池である。上流部は、もしかすると砂鉄の採掘跡かもしれない。そうであれば、久慈市を中心とした南部鉄鉱山のうち最北部に位置するものであろう。2kmほど北寄りには「金屎」という地名もある。また、白銀(しろがね)方面には野馬の湯天然ラドン温泉という日帰り入浴施設があるようだ。

金吹沢神社のすぐ手前。神社境内から湧き出すかけ流しのラジウム鉱泉で知られる古くからの湯治湯。GWには入り口からつづく桜のトンネルが壮観だ。庭園を眺める大浴場は解放感抜群。日帰りの利用も多く、「食事券400円+入浴料+休息料」込みのお得なチケットが人気。日帰り入浴、宿泊の方はラジウム鉱泉の美味しい水を、自由に持ち帰れる。
月刊 温泉博士(マガジン倶楽部) 2012年4月号7ページ「春のゆる旅情報」より
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