東大寺の表参道である。これは早朝に撮影したもので、参道沿いの土産物屋への運送車両が多く人影はまばらであるが、日中は奈良市内でも最も観光客で混雑する場所のひとつだろう。左に見える観鹿荘の看板は入り口の両隣の土産物店に設置されているもので、おそらくこれらの商店と観鹿荘とは直接的な関係はない。
観鹿荘の入り口は店舗に挟まれて大変に小さく、個人住宅の入り口のようである。しかも参道からは引っ込んでいて手前に大きな松の木があってかなりわかりにくく、さらに入り口の門扉は鹿よけのために普段から閉められているので、初めての人はこの門扉を開けて入っていくのにちょっと躊躇するであろう。
参道の入り口を入って突き当りの右側に
中門がある。この中門が実質的には観鹿荘の入り口であろう。中門の内側にはよく手入れされた前庭がひろがり、正面に観鹿荘の
玄関がある。この玄関部分も惣持院からの移築であるのかはよくわからないが、多分そうなのであろう。
玄関の左に見える門は
老門と名付けられ、離れ「小鹿の間」正面の
庭園入り口となっている。その
説明板によれば「今を去ること七百年前(鎌倉時代)南都七大寺の一つ法隆寺の某院の西門として建立」されたとある。玉井久次郎氏は古い建造物の買取・移築にも熱心であったことがうかがわれる。
中門も同様にどこかからの移築なのかもしれない。
観鹿荘の表玄関は南向きであるが、
全体の構成は南大門側から眺めたほうがわかりやすい。手前の小川は春日山に源流を発して東大寺参道を横切って流れる吉城川。中央部分の土塀の向こうの
大屋根が惣持院の客殿を移築したもので、「天平」「飛鳥」「醍醐」「鎌倉」の四室が田の字に配されている。下で紹介する客室「鎌倉」はこの写真大屋根の手前左角である。
大屋根の左の建物が一階に「春日野」、二階に「三笠山」の客室がある新館である。また大屋根の右側の新館には一階に3つの
浴室、二階に「平城山」「佐保山」の2つの客室がある。
左に見える
小門は観鹿荘の裏門ともいえるもので、これが開放されることはまずないと思うが、老門と同じく玉井氏が収集した古建築なのかもしれない。この門の奥正面には
古い仏堂があり、これも玉井氏による移築と思われるが詳細はわからない。
惣持院の客殿では一番小さな部屋であるが、北の庭園を眺めるには最も適した位置にある。「飛鳥」「醍醐」の各部屋とは
壁で仕切られているが、もちろん元来は襖であっただろう。
夕食や
朝食はすぐ隣の新館「
春日野」でいただいた。この部屋も北の庭園の眺めが良好である。