白為旅館 山口県岩国市・錦帯橋 東詰 2015年3月訪問

 外観や客室だけをみれば、とくにどうこう言うような旅館ではない。だがしかし……その立地と客室からの展望は他に類を見ない。山海の景観や庭園を誇る宿は他にもあろう、が、これほど雄大な歴史遺産を間近にして一晩堪能できる宿は他にあるまい。
 また、割烹旅館を称するだけあって料理が秀逸である。土地のもの、季節感を大切にしている。夕食には、あさりご飯や、早春の風物詩、錦川の四つ手網でとれたばかりのシロウオの踊り食いが供された。朝食もまた見た目は何でもないのだが、とても美味しかったのがいつまでも思い出に残っている。2016年には館内が全体的に改装されたようである。
 JR岩国駅と新幹線新岩国駅を結ぶ路線バスに乗り、どちらの駅からでも15分弱の錦帯橋バスセンター下車すぐ。バスセンターの3階には展望台があるが、白為旅館から俯瞰する展望には及ぶまい。

<白為旅館> <Google地図> <地理院地図> <楽天トラベル> <高枕> <割烹旅館白為を探検する>

錦帯橋から見た白為旅館
 右の大きな3階建てが白為旅館である。左端の黄色い建物は御食事処しらため別館。それらに挟まれた部分は旅館経営者の住居らしい。御食事処しらため別館は普通の観光地の食堂とは一線を画した人気の料理店のようである。
 別館のさらに左に少し見えているのが大明小路、昔の町人街のメインアベニューであろう。この通り沿いには宇野千代ゆかりの旅館半月庵や、岩国寿司元祖の旅館三原屋がある。國安家住宅は白為旅館の裏手すぐのところだ。

客室からの錦帯橋展望
 2階の201客室の窓から眺める錦帯橋。橋の展望のない部屋では目も当てられないから、予約は電話で行って窓からの展望を確認することが望ましい。201号室は錦川に面した下流側であるが、どうせならば上流側の橋詰に面した角部屋をとりたいものだ。ただし、角部屋からの視点は橋軸に対して急角度になりすぎるのかもしれず、この点は何とも言えない。3階は角も含め大部分が宴会場(食事処)となっているようだ。この旅館に宿泊するからには早朝のひっそりとした錦帯橋もぜひ堪能したい。
 橋を渡った向こう側の山麓には岩国城の城下町で、目加田家住宅(重要文化財)などの武家屋敷がある。写真の山の上のやや左に小さく見えるのは岩国城の復元天守閣。山麓からロープウェイがあるが、山頂駅から天守閣まで尾根沿いに約500m、標高差約30mの山道のぼる必要がある。

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